整形外科の身近な病気-整形外科医に訪れる患者さんの症状-

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整形外科とは
背骨・手・足など全身の運動器官をつくりあげている、身体の芯になる骨・関節などの骨格系とそれを取り囲む筋肉やそれらを支配する神経系を「運動器」と呼びます。運動器の病気や外傷、また先天的疾患を治療する専門医が整形外科医です。
整形外科の治療は、単に病気やケガを治すだけでなく、運動機能を元に回復させることを目的としています。腰痛、頸肩腕痛、関節リウマチ、スポーツ外傷、神経痛から骨粗鬆症まで骨や関節・脊椎の病気や骨折や捻挫・靱帯損傷などの外傷まで治療します。
またロコモ:ロコモティブシンドローム(運動器の障害により要介護になるリスクが高い状態になること)の啓発と予防・治療も重点的に行っています。
整形外科に訪れる患者さんの、よくある症状をご紹介します。
ロコモ

ロコモはロコモティブシンドローム(運動器症候群)の略称です。
病気ではないのですが、年齢とともに立ったり座ったり、歩くことがつらくなる状態を指します。放っておくと、要介護、寝たきりになる可能性があります。ロコモは、高齢化や運動不足によって、足腰の筋力やバランス力が低下して起こります。さらに骨粗しょう症や脊柱管狭窄症、変形性膝関節症などの運動器の障害が加わるとロコモが進んでしまいます。

高齢化人口減少の進む日本ではロコモの防止はたいへん重要な国民的課題です。

ロコモがどのくらい進んでいるかを判断するのが「ロコモ度テスト」です。立ち上がりテスト、2ステップテスト、ロコモ25があります。転倒しないように注意して行って下さい。

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変形性関節症

関節の軟骨の変性・磨耗を生じ、また関節周囲を取り囲む滑膜の炎症を併発して関節周囲の疼痛、腫脹、引っ掛かり感、違和感を生じます。特に関節を動かしたときの疼痛が主体です。

人体の関節の中では体重を支える荷重関節として膝関節、股関節の関節症が多く。50歳以上の1000万人が変形性膝関節症による膝痛を経験しています。肘や肩に生じることもあります。

軟骨が消失するとある程度以上の荷重刺激により疼痛を感じ、徐々に悪化していきます。動き始めの動かしにくさも目立ってきます。
診断には年齢、上記症状に加え、X線撮影による骨棘形成、関節裂隙の狭小化、軟骨下骨の硬化などの所見が重要です。

変形性関節症の発症は、遺伝子素因を背景として使いすぎや体重負荷、外傷を契機に生じます。股関節や膝関節のように関節症の頻度が高く、重症化すると障害が大きく、時に手術が必要になる関節では、定期的な診断をうけることが進行予防に大切です。悪化の防止には適度な運動負荷と肥満の改善や労働量の調節、関節周囲の柔軟性の維持と周囲筋力の維持が必要で、関節内注射を行う場合もあります。

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腰部脊柱管狭窄症

背骨には脊髄が通るトンネルがあります。脊柱管狭窄症とはこの脊柱管が狭くなって脊髄が圧迫され、腰の痛みや脚のしびれなどの症状を起こすものです。
長い時間歩くと症状がひどくなり、しばらく休むとまた歩けるようになる、間欠性跛行(かんけつせいはこう)が典型的な症状です。

この病気では腰痛はあまり強くなく、安静にしている時にはほとんど症状はありませんが、背筋を伸ばして立っていたり長く歩くと、ふとももや膝から下にしびれや痛みが出て歩きづらくなります。しかし、すこし前かがみになったり、腰かけたりするとしびれや痛みは軽減されます。進行すると、下肢の力が落ちたり、肛門周囲のほてりや尿の出が悪くなったり漏れることもあります。

加齢により骨や靭帯などの肥厚、椎間板の突出などで起こることが多く、椎間板ヘルニアに比べ50歳代以降に多くみられます。

単純X線も欠かせませんが、的確に診断するためにはMRI検査が有用です。下肢の血行障害でも似たような症状が生じるので、原因を正確に調べることが必要です。

神経の圧迫は腰をまっすぐに伸ばして立つと強くなり、前かがみになるとやわらぎますので、歩く時には杖をついたり、シルバーカーを押して腰を少しかがめる楽に歩けます。

治療としては脊髄の神経の血行を良くする薬が有効で、リハビリテーション、コルセットの使用、神経ブロックなども行います。
しかし、歩行障害が進行し、日常生活に支障が出てくる場合には手術が必要な場合もあります。

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関節リウマチ

免疫の異常により関節の腫れや痛みを起こし、変形をきたす病気です。主に手足の関節が多いのですが肩や膝などの大きな関節にも生じ、肺や腎臓など内臓に発症することもあります。

人口の0.8%前後にあたる人がこの病気にかかるといわれています。どの年齢でも生じますが、40~50歳代で発病する人が最も多く、最近では70歳以降の高齢発症も増えています。男性より女性に多く生じます。
15歳以下で発病するものに若年性特発性関節炎がありますが、これは成人の関節リウマチとは異なるものです。

この病気の原因は免疫系(細菌などから体を防御するシステム)の異常と考えられています。

関節リウマチの診断に役立つ検査として、血液検査、手足のX線検査があります。最近はX線検査ではわからない変化がMRIや関節超音波(エコー)検査で検出できます。

関節リウマチの診断がつき次第、抗リウマチ薬の投与を開始します。副作用がでないように十分注意することが必要ですが早期にしっかり治療しないと関節の破壊が進んでしまいます。
関節の破壊や破壊が進んで日常生活の障害が強い場合には手術的な治療を行うこともあります。

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気になる症状がある、診断・治療方法については、お近くの整形外科医にご相談ください。